COLUMN

フェムテックと鍼灸

フェムテックと鍼灸 vol.2そもそもフェムテックって何?

2022年06月14日
フェムテックと鍼灸

こんにちは。
グラン治療院の院長、鍼灸師の栗本夏帆です。

普段、鍼灸師として働きながら、『一般社団法人 日本フェムテック協会』で常任理事を務めさせていただいています。
この協会では、泌尿器科や産婦人科の医師などが理事を務めていますが、私はその中で唯一の鍼灸師として、フェムテックの分野に鍼灸師がより深く関わっていけるよう、取り組んでいきたいと考えています。

 

vol.1の記事ではフェムテックについての私の想いをお話しさせて頂きました。>vol.1記事はこちら<

 

鍼灸師や治療院が、悩みを抱えている方と病院との架け橋のような存在になっていけたら……
という想いを持って、【フェムテックと鍼灸】のコラムを書き始めました。

 

 

そもそもフェムテックを知っていますか?

フェムテック(femtech)とは、
女性を意味するフィメール(female)と科学技術・技術学のテクノロジー(technology)を
組み合わせた造語です。

生理から妊娠、出産、更年期、メンタルヘルスに至るまで、
女性特有の健康課題に対してテクノロジーを用いて解決へと導くサービスや製品を指しています。

 

使ったことがある方も多いと思いますが、生理周期を管理できるアプリなどがその代表格です。

最近では、テクノロジーを用いず解決へと導くサービスや製品のことを
フェムケア(femcare)を呼び、腟まわりのケア製品や月経カップなどを指します。

 

フェムテックという言葉は、
ドイツの生理管理アプリ『クルー』の代表であるアイダ・ティン氏が、
自分たちのサービス・ビジネスを称するため、2012年頃に作った言葉と言われています。

 

ビジネス的には、2025年には世界で約5兆円の市場規模になると予想されているんです。
ここまで注目されるようになった背景には、
#Me Too運動(※)などによって女性が抱えている問題や課題が浮き彫りになり、
オープンに語られる機会が増えてきたことが挙げられます。

 

※#日本では、2020年がフェムテック元年と言われていますが、
まだまだ聞いたことがないという方や
聞いたことはあるけど、どういうものか知らないという方が多いのではないでしょうか。

 

まずは日本の現状を知り、そのうえで鍼灸がどのように関わっていけるか一緒に考えていきましょう。

 

『フェムテック振興議員連盟』を知っていますか?

生理や更年期など女性特有の悩みをテクノロジーで解決する
フェムテックの振興を目指す自民党の中で発足した議員連盟です。
これからお伝えする内容は、
私が『フェムテック振興議員連盟』の総会に出席して聞いてきた内容になります。

 

2021年6月2日に開催された『第7回Femtech振興議員連盟 総会』で
フェムテックの実態について調査結果が発表されました。
多様な個人のウェルビーイングの実現を目指し、
特に働く女性のライフステージに応じた課題と
近年拡大しつつあるフェムテック産業に着目した調査になります。

 

フェムテック実態調査

女性のライフステージに沿った健康課題分野に応じてフェムテックを6分野に整理し、調査が実施されました。

女性のライフステージは以下の6つに分類

・小児期

・思春期

・成熟期

・更年期

・老年期

 

 

健康課題分野(フェムテック適応分野)は以下6つに分類

・月経

・妊娠・不妊

・産後ケア

・更年期

・婦人科系疾患

・セクシャルウェルネス

 

①実態調査

フェムテックは新しい産業であり、拡大の方向性や他機関との連携可能性など未知の事項が多い。
本事業においては、今後の検討を行うに当たり、まずは現状を把握するため、フェムテック産業の実態調査を実施した。

 

②諸課題の抽出と対応策の提案

フェムテックは女性の健康や心身と密接に関わるため、製品やサービスの開発、提供に際しては、各種制度や倫理等の考慮すべき事項が多数存在することが想定される。
本事業においては、①の実態調査をもとに各種課題を抽出し、論点整理を行うとともに、産業の拡大・普及に向け必要となる対策案を提案した。

 

③ウェルビーイング実現が経済に与えるインパクトの考察

本事業では、フェムテック産業が拡大・普及し、テクノロジー等の活用による健康課題の解決により、働く女性の働き方、生活、意識の変革・行動変容が起き、ウェルビーイングが実現し、ひいては経済産業全体にポジティブな影響をもたらすとの仮説のもと、①及び②において、フェムテック産業がそのドライビングフォースのひとつとなるための条件整理を試みた。
③では、テクノロジー等の活用によりもたらされる変革と効果、また、女性のウェルビーイング実現への寄与について具体的に分析・考察した。
さらに経済全体に及ぼす効果について、各種経済指標を用いて、定量的な試算を行った。

 

※①:本調査においてヒアリングを実施した対象はフェムテック事業者の一部であり、全事業を網羅していない

 

次のコラムでは、
この実態調査でわかった健康課題の現状と課題、
フェムテック商品・サービスについてお話しいたします。

私が書きました!

栗本 夏帆KAHO KURIMOTO

鍼灸師

所属:グラン治療院東京院
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