COLUMN

膝に水が溜まる——それは人生の歩みを止めないための“警告”

2025年05月16日

 

「膝に水が溜まる」という言葉、耳にしたことはありませんか?

正式には**関節水腫(かんせつすいしゅ)**と呼ばれるこの状態は、年齢を重ねた方だけでなく、若い世代やスポーツ愛好者にも起こり得る、意外と身近なトラブルです。

一度経験すると、その違和感や鈍い痛み、曲げ伸ばしのたびに感じる不快感が、日常生活を静かに、しかし確実に蝕んでいきます。

 

 

その正体と体のSOSサイン

膝に「水が溜まる」とは、関節内に関節液が過剰に分泌されることで、膝が腫れぼったくなった状態を指します。

この関節液は本来、膝の動きを滑らかにし、軟骨や骨を守る重要な役割を果たしています。

 

しかし、何らかの炎症や外傷がきっかけとなり、この液体が異常に増えてしまうのです。

つまり、膝に水が溜まるという現象は、「膝関節が悲鳴を上げている」サインに他なりません。

 

 

 

【主な原因】

変形性膝関節症

加齢や長年の負荷によって、膝の軟骨がすり減り、炎症が起こることで水が溜まります。

中高年層に多く見られる症状です。

 

怪我やスポーツ障害

靭帯損傷や半月板損傷など、膝に強い負荷がかかることで急性の炎症が起こり、水が溜まるケースもあります。

 

関節リウマチ

自己免疫疾患の一つで、膝関節の炎症によって関節液が過剰に分泌されます。

 

痛風・偽痛風

尿酸やピロリン酸カルシウムといった結晶が関節に沈着し、炎症を引き起こすことで膝に水が溜まることもあります。

 

 

【症状と日常生活への影響】「ただの腫れ」と侮ってはいけない

最初は「ちょっと腫れてるかな?」程度の違和感から始まります。

しかし、放置すれば次第に以下のような症状が現れます。

 

・膝が重く、だるい

・階段の昇り降りが辛い

・膝が曲がりにくく、正座やしゃがむ動作が困難

・膝周辺が熱を帯びる、赤くなる

・慢性的な鈍痛や激痛

 

こうした症状は、単なる不快感に留まらず、心のストレスにも直結します。

「動くのが怖い」「外出がおっくうになる」「趣味が楽しめない」といった、生活の質(QOL)の低下を招くのです。

 

 

 

対処法

保存療法

炎症を抑えるためのアイシングや圧迫包帯、安静が基本です。

 

関節穿刺(関節内注射)

溜まった水を注射で抜き、必要に応じてヒアルロン酸注射やステロイド剤を投与することで炎症を抑えます。

即効性はありますが、根本治療ではないため再発予防が重要です。

 

根本的な治療

変形性膝関節症などが原因の場合は、運動療法や体重管理、場合によっては手術(人工関節置換術など)が検討されます。

 

 

【再発を防ぐために】

膝に水が溜まることを繰り返さないためには、日常生活での予防意識が不可欠です。

 

・適度な運動(膝に負担の少ないウォーキングや水中運動)

・体重コントロール(膝への負担軽減)

・正しい姿勢と歩き方

・冷え対策(血流改善)

・筋力トレーニング(特に大腿四頭筋)

 

日々の小さな積み重ねが、将来の健康な膝を守ります。

「まだ大丈夫」と油断せず、今この瞬間から始めましょう。

 

 

 

【鍼灸のアプローチ】

◆気血水の流れを整える

東洋医学では、人体の健康は**「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」のバランスによって保たれていると考えます。

「膝に水が溜まる」状態は、この水(体液)の巡りが滞っているサインでもあります。

 

**経絡(けいらく)**と呼ばれる体内のエネルギーラインを整え

滞った気血水の流れをスムーズにし、結果として関節内の余分な水分(関節液)の循環・排泄を促進します。

 

これにより、体の中から自然に炎症を鎮め、腫れを引かせる効果が期待できるのです。

 

 

◆自律神経へのアプローチと鎮痛効果

鍼灸施術は、自律神経を整え、血流改善を促し、痛みを伝える神経伝達物質の働きを調整する作用もあります。

 

これにより、膝の痛みやだるさが和らぎ、薬に頼らない自然な形で症状の改善を図ることができます。

 

 

◆体全体を整える「根本治療」という視点

鍼灸は、膝そのものだけでなく、腰や股関節、全身のバランス、冷えやむくみ、筋肉の緊張といった、膝に負担をかける「隠れた原因」にもアプローチします。

単に水を抜いて終わり、ではなく、再発しにくい体質改善を目指せる点が、鍼灸ならではの魅力です。

 

 

 

膝に水が溜まる――自分の体と向き合う大切なサイン

膝に水が溜まるという現象は、単なる加齢現象でも、運動不足でもありません。

それは「もっと自分を大切にしてほしい」という体からのメッセージなのです。

 

適切な治療と日常のケアで、再び快適な毎日を取り戻すことは可能です。

「痛みと共に生きる」のではなく、「痛みと向き合いながら、より良く生きる」ための一歩を踏み出しましょう。

 

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私が書きました!

彦山 大樹DAIKI HIKOYAMA

鍼灸師

所属:グラン治療院ブエノスカリン院
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