疲れ目と眼精疲労について
- 2019年05月30日
- 目の疲れのこと
VDT症候群という言葉をご存知でしょうか。PCなどのディスプレイを長時間使用し作業することにより、目や体、心にまで影響の出る病気のことです。別名“IT眼症”、“テクノストレス眼症”とも呼ばれています。PCやスマホ、TV、ゲームなどの普及に伴い目を酷使することの多い現代の生活環境下で、気づかないうちに大切な目に負担をかけています。今回は目の疲れを引き起こしている原因、日常の中で意識することで簡単にできる対処法などをご紹介していきます。
疲れ目と眼精疲労の違いとは?
疲れ目
疲れ目とは一時的な疲れのことで、休息や睡眠をとれば自然に回復するものを言います。
眼精疲労
休息をしても回復しないもの。休息や睡眠をとっても疲れ目の症状が常にあり、目のかすみや充血、眼痛の他、頭痛、肩こり、めまい、倦怠感、吐き気など目以外の部分にも影響を及ぼしていることを眼精疲労と言います。
原因
目の疲労の原因として大きく2つに『筋肉疲労タイプ』と『ドライアイタイプ』に分けられます。
筋肉疲労タイプ
スマホやPCの長時間の使用による目の疲れは、集中して画面を見つめ目の動きがない状態が続くと、眼球を動かしている6本の筋肉と、ピントを合わせるための筋肉が凝り固まって疲労を起こします。
■ 眼球を動かす筋肉
眼球は6本の筋肉によって支えられ、上下左右、斜めなどこれらの筋肉によってあらゆる方向に動くことができます。
■ ピントを合わせる筋肉
目の中の水晶体(カメラのレンズにあたる部分)の厚みを調整しピントを合わせる毛様体筋。
遠くを見る時は毛様体筋は緩まり、近くを見る時は収縮します。
ドライアイタイプ
PCやスマホの画面を凝視していると瞬きが減少し、さらにコンタクトやエアコンの風が当たる環境で涙が蒸発しやすくなり、涙が十分に行き渡らなくなってしまいます。
目の表面が乾燥すると角膜が傷つきやすくなり、さらに涙の蒸発量が増えさらに乾燥してしまいます。
近年どの年代にも関わらずドライアイは急増していると言われており、目が乾く、ショボショボする、逆に涙が止まらないなどの症状がある方はドライアイの可能性が高いと言えます。
ドライアイって?
ドライアイは涙の分泌量の減少や、涙の量は十分にあっても涙の質が低下することによって、目の表面を潤す力が低下した状態を言います。ドライアイにより目の表面が乾燥し傷がついて様々な障害が発生する病気です。
こんな症状があればドライアイかも?
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- 目が渇く
- 目が疲れる
- 目がショボショボする
- 目の表面がひりひり痛い
- 目が充血する
- 朝目が開けにくい
- 光が眩しく感じやすい
- 夕方以降物が見えづらくなる
ドライアイの原因
ドライアイの原因として、涙の蒸発がひどくなった蒸発亢進タイプ(脂不足)と涙の分泌が減った涙液減少タイプ(水不足)の大きく2つに分けられますが、蒸発亢進タイプ(脂不足)が圧倒的に多いようです。
涙の蒸発亢進を引き起こす原因
涙の表面は脂の膜で守られています。その脂が涙の表面に油膜を作って水分の蒸発を防いでいますが、脂を分泌するマイボーム腺の機能不全(MGD)により蒸発亢進を引き起こします。
マイボーム腺の働きが低下する原因
1.交感神経の興奮
マイボーム腺、涙腺は副交感神経が働きをつかさどりますが、緊張した状態が続くと涙も脂も出が悪くなります。
2.コンタクトレンズ
コンタクトを付けている状態が長いほど物理的刺激でマイボーム腺が減少するリスクがあると言われています。
3.ホルモンの影響
マイボーム腺は皮脂同様に男性ホルモンによって働きが活発になります。ですので女性の方が脂不足になりやすいのです。
4.季節の影響
涙の分泌は朝もっとも多く、夕方以降に減少します。一方、脂に関しては日内変動はありません。しかし、低湿度や低温度の環境では脂の量が減少するので冬場のドライアイが多いのです。
疲れ目、眼精疲労の解消法
意識的にまばたきをする
一般的に瞬きの回数は約15~20回/分ですが、読書中は約10回/分、PC作業時には約10回/分と何かに集中している時は瞬きの回数が減少します。まばたきをすると目の周りの筋肉がストレッチされるのでドライアイ防止にもつながります。
疲れ目ほぐし体操
眼球を支えている6本の筋肉のバランスが崩れると疲れ目、眼精疲労に繋がり、それが原因で首肩のコリにも繋がってしまいます。意識的に動かすことで凝り固まった目の筋肉をほぐしましょう。
目を上下、左右、寄り目、目をぐるぐる回す。
遠くを見る
近くを見るときピント調整する毛様体筋は収縮します。PC作業や手元での作業などで近くをずっと見続けると、毛様体筋は凝り固まってしまいます。逆に遠くを見る時は毛様体筋は緩むので目の緊張を和らげます。たまにはぼんやり遠くを眺めてみましょう。
目の疲れに効果的なツボを刺激
晴明(せいめい)・・疲れ目のツボ、刺激すると目がスッキリし明るく晴れるように感じられることからこの名前がある
太陽(たいよう)・・老眼を治すツボとして知られているツボ
承泣(しょうきゅう)・・眼精疲労、かすみ目に
四白(しはく)・・眼精疲労、目の痙攣解消に
攢竹(さんちく)・・眼精疲労、ドライアイ、頭痛を和らげる
蒸しタオルやホットアイマスクで目のリフレッシュ
温めることで血行が良くなり筋肉の緊張がほぐれリラックス。手のひらで目を覆うようにかぶせしばらくするとじんわり温まってきます。(眼球を圧迫しないように注意)
まぶたを軽くマッサージ
脂を分泌するマイボーム腺は上瞼に約50本、下瞼に約25本あります。指の腹で上瞼の上から下へ、下瞼の下から上へ詰まった脂を押し出すようなイメージで優しく軽く撫でます。(※眼球を圧迫しない、強くこすらないよう注意)
PC作業での疲れ目に
- PC連続作業は1時間ごとに10〜15分休憩
- モニターの明るさと室内の明るさを合わせる
- 小さい文字は目の筋疲労を招くのでモニターの文字を適度な大きさに合わせる
- PC作業に適したメガネを使用する
目に良い成分
目に良いとされる食事はたくさんありますが、それだけとれば良いというわけではありません。基本的には食事はしっかりバランスよくとりその上で目に良いとされる食事をとるようにしましょう。
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- ビタミンA
レバーや緑黄色野菜に多く含まれ目の粘膜を保護し網膜の状態を良く保つ働きがあり、目の老化防止や視力低下予防に有効。
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- ビタミンB
目薬の成分にもよく使用され、目の疲れに良い
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- ビタミンC、D
老化予防に
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- ビタミンE
目の機能活性化
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- DHA
青魚や赤身の魚におおく含まれドライアイや疲れ目の改善、視力低下改善に。
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- アントシアニン
ブルーベリーの皮の部分におおく含まれ目の神経伝達を良くする効果。光を感じるロドプシンという物質の再合成を促す働き
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- ルティン
緑黄色野菜に多く含まれ、老化によって増加する活性酸素を排除する働き
まとめ
仕事だから仕方ない、たかが目の疲れ、そう思って放っておくと全身の不調にもつながるおそれがあり、仕事の効率も下がってしまいます。瞬きを意識する、遠くを見る、眼球を動かすなど意識するだけで簡単にできることはあり、ちょっとしたことで疲労は回復しますので、日頃から目の疲れをケアする習慣をつけ疲れを溜め込まないようにしましょう。
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私が書きました!
川﨑 真澄MASUMI KAWASAKI
鍼灸師
所属:グラン治療院横浜スパイアス院
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