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生理のこと GIRL'S DAY

生理痛(月経痛)について

2019年06月11日
生理のこと

生理痛が起こる原因

女性にとって切っても切り離せない生理は、女性の身体にとってとても大事なものですが、大抵の女性にとって生理は辛いものと捉えられています。生理痛は生理にまつわる代表的な不調として知られており、非常に多くの女性が悩んでいます。生理痛があることが当たり前と思っている女性が多くいると思いますがそうではありません。ここでは月経痛が起こる原因と共に生理痛を軽減するために日常生活で出来ることをご紹介していますので生理痛の予防にお役立てください。

 

目次

    1. 生理(月経)について
    2. 生理痛(月経痛)の原因
    3. 時期によって異なる生理痛(月経痛)の原因
    4. 日常で出来ること
    5. まとめ
    6. 監修

 

生理(月経)とは

通常排卵が起きた後妊娠に至らなかった場合、卵巣から出ていた黄体ホルモンと卵胞ホルモンが減少し、子宮の内膜を覆っている子宮内膜と呼ばれる壁の一部が壊死に陥って崩れ、血液、内膜組織、粘液などが子宮外に排出されます。

 

生理(月経)周期とは

月経1日目から次の月経の前日までの日数を言います。一般的に25~38日周期で、3~7日続く周期が正常とされていますが、月経が始まって6~7年は排卵周期が確立していないことも多いので思春期には多少のズレが生じることも多く、毎回周期が異なっていても心配はありません。おとなの女性では睡眠不足やストレス、風邪などの体調不良によって一時的に月経周期がズレることもありますが、不調な状態が長く続く場合にはホルモンバランスが崩れていたり、何か病気が隠れている可能性が高いため、一度産婦人科で相談すると安心です。

 

生理痛(月経痛)の原因

>1.プロスタグランジンの過剰分泌

プロスタグランジンとは、子宮を収縮させ不要になった粘膜を血液と共に体外に押し出す働きをします。
妊娠しなかった場合、不要になった粘膜を排出する際に子宮粘膜からプロスタグランジンが大量に分泌されます。分泌されたプロスタグランジンは子宮平滑筋に作用し子宮を収縮させますが、プロスタグランジンの分泌量が多く子宮が必要以上に収縮してしまうと生理痛の原因となってしまうのです。

2.子宮の発達が未熟

初潮を迎えてから数年は子宮が未成熟で、子宮口が狭く硬い状態です。子宮外に血液をスムーズに押し出せないので、より強く子宮を収縮させ血液を押し出そうと働くことで痛みが生じます。この場合、子宮が成熟すれば自然と治ることが多いようです。

3.精神的・肉体的ストレス

冷房や食生活などで身体が冷えて血流が悪くなったり、立ちっぱなしなどの仕事を長時間続けることなどの身体への負担や、生活環境の変化など精神的なストレスも生理痛の原因となることがあります。

4.女性のライフサイクルの変化

女性が一生に経験する生理の回数は昔に比べ、約50回から約450回と約9倍にも増えていると言われており、毎月繰り返されることによって女性にとっての負担も大きくなっています。また他にも初経年齢の低下や出産数の低下、出産年齢の上昇、閉経年齢の上昇などにより、女性ホルモンにさらされる期間が長くなることで子宮への負担が大きくなり、子宮に関するトラブルが増加しています。

5.疾患による痛み

日常生活に支障をきたすようなひどい生理痛を「月経困難症」と言い、この月経困難症には原因となる疾患のない「機能性月経困難症」と、原因となる疾患がある「器質性月経困難症」に分類されます。原因となる疾患には子宮内膜症や子宮筋腫、子宮線筋症など生理痛の背景には様々な病気が潜んでいる場合があります。また、生理痛で医療受診した女性では、機能性月経困難症(原因となる疾患なし)が約47%で、器質性月経困難症(子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患がある)が約58%と、疾患による月経困難症が約半数にものぼります。この中でも子宮内膜症は20~30代の女性10人に1人は発症すると言われておりますが、月経痛を我慢してしまう女性が多いため診断が遅れてしまうことが多いようです。症状がひどくなると月経痛以外にも痛みを生じ日常生活に支障をきたすだけではなく、将来不妊やチョコレート嚢胞からの癌化など深刻な事態に陥ることもあるので我慢せずに早期に婦人科に相談することが大切です。

 

時期によって異なる生理痛(月経痛)の原因

1.生理前の痛みと不調の原因
主な原因:黄体ホルモン(プロゲステロン)

排卵後、女性ホルモンの一つであるプロゲステロンの分泌量が急激に増えます。プロゲステロンは「乳腺を発達させる」・「体温を上げる」・「水分を貯め込む」などの働きがあるため、乳房が痛くなったり、ほてりや怠さ、むくみなども起きやすくなってきます。また、プロゲステロンには血糖値を下げてくれるインスリンの効果を悪くする作用もあるので脂肪を貯め込みやすく、そのためこの時期のダイエットはあまりうまくいかないと言われています。イライラや頭痛、胃痛、乳房痛、便秘、肩こり、だるさ、集中力低下などの不調はプロゲステロンの増加が原因ですが、これが重症化したのが「月経前症候群(PMS)」です。

2.生理前半の痛みと不調の原因
主な原因:プロスタグランジン

生理直前から前半まで、プロスタグランジンが急激に増加します。
プロスタグランジンは子宮を収縮させる作用があり生理の経血を身体の外に排出させますが、経血の量が多いと子宮の収縮が強くなり下腹部の痛みがおこります。また、プロスタグランジンには血管や胃を収縮させる作用もあるので、過剰に分泌されることによって腰痛やだるさ、冷え、吐き気などを引き起こします。

3.生理後半の痛みと不調の原因
主な原因:血行不良

血液の循環が悪くなり下腹部の鈍痛や、腰痛、冷え、むくみを引き起こします。半身浴や食事などで血行不良を改善することで軽い生理痛なら改善することが出来ます。

 

日常生活で出来ること

1.体操

骨盤を中心に血液の循環が悪くなると生理痛が強まります。骨盤や股関節周りの筋肉をほぐしたりストレッチなどを行い血流を改善させましょう。

2.足浴や半身浴、カイロで温める

冷えは生理痛を増強させてしまいますので、下半身の血液循環を改善すると痛みも緩和されます。約41〜42℃位のお湯に15〜20分額に汗をかくくらいまで温まると効果的です。

3.ナプキンを長時間つけない

ナプキンを長時間交換しないでいると、冷えやかぶれの原因になります。3~4時間を目安に交換しましょう。布ナプキンは「冷えない」「生理痛が楽になる」とも言われていますので一度試してみてはいかがでしょうか。

4.アロマテラピーでリラックス

ストレスも生理痛に繋がる要因の一つ。少しでも調子が悪いかなと思う時は身体も心もゆっくりと休めて休息する時間が大切で、アロマオイルを使った香りによるリラックスもおすすめです。

 

アロマオイル

 

    • ラベンダー

落ち込みやイライラを和らげ、血行を良くしてうっ血を改善する

    • イランイラン

ストレス解消に。バランスを整え痛みを和らげる

    • ゼラニウム

血行を良くする、イライラを鎮めるなどのはたらきがあります。女性ホルモンのバランスを整えるとも言われています。

※アロマオイルには薬理作用があり中には体調や体質によっては使用を控えた方が良いものもありますので、使用する際には使用上の注意を良く読みご使用ください

5.鎮痛剤などをうまく利用し痛みの症状を和らげる

鎮痛剤には痛みの原因物質であるプロスタグランジンの分泌を抑える働きがあります。痛みがひどくなるまで我慢してしまうと、痛みの原因となる物質が体内に増え薬が効きにくくなってしまうので、痛みが出る少し前にに飲むことが効果的です。

 

6.漢方薬

鎮痛剤以外では漢方薬もおすすめです。体質や状態に合わせて自分に合った漢方薬を使用し、冷えや血流の改善、痛み、イライラなどの精神症状も和らげることができます。

 

生理痛を和らげる代表的な漢方薬

      • 当帰芍薬散

足りない血を補い巡りをよくする

      • 加味逍遙散

イライラを沈め緊張を和らげ、自律神経のバランスを整える

      • 桂枝茯苓丸

血の滞りを改善し巡りを良くし、冷えやのぼせにも効果的

※鎮痛剤や漢方薬は対処療法であり、原因となる疾患の進行を抑える働きはありません。鎮痛剤を飲んでも痛みがおさまらない、生理以外でも下腹部に痛みがある、経血量が多く貧血気味など日常生活に支障をきたす場合は我慢せずに早めに婦人科を受診しましょう。

 

7.お灸

生理痛にとって冷えは天敵。冷えによる血行不良は月経痛を増長させる原因となります。冷えを改善させることによって生理痛が和らいだり、生理不順の改善が期待できます。

 

冷えに効くツボ

    • 三陰交

別名「女性の足三里」と呼ばれるほど冷え症やむくみ、生理不順、更年期障害など女性疾患にはよく使用されるツボ。

    • 血海

生理不順、生理痛、など婦人科疾患全般や、膝痛などに対応します

    • 気海

体を巡る気が集まる場所で元気の源と言われるツボ。生理痛や生理不順、下腹部痛、腰痛、貧血の緩和に良いとされるツボです

    • 太衝

冷え症や足の疲れ、むくみ、生理痛、更年期障害などにも効果的

    • 腎兪

腰痛、むくみ、ストレス、だるさなどに効果的なツボです

お灸の温熱刺激による血流改善、または免疫作用もあるので普段からお灸をすることで免疫機能や代謝機能などを高め体質改善にも効果的です。

 

まとめ

女性の社会進出が著しい中、月経困難症により仕事を休むことによる労働損失金額が1年間で約3,782億円に上ることも分かっており大きな社会的損失にもつながっています。いまや経済的にも女性は欠かせない存在となっている一方、女性の社会進出に加え子育てや家事などによる疲れやストレス、睡眠不足などの生活習慣で女性の身体への負担が大きくなっています。同じ女性でも月経に伴う症状は千差万別で男性にとってはとても想像もつかないかもしれませんが、少しでも理解して頂けたらと思います。また女性自身、生理に伴う生理痛をはじめ、他の不快な症状なども当たり前と思わず、ぜひご自身の身体と向き合っていただけたらと思います。

 

私が書きました!

栗本 夏帆KAHO KURIMOTO

鍼灸師

所属:グラン治療院東京院
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