COLUMN

季節の症状 SEASON SYMPTONMS

夏バテ対策~暑さに負けないカラダづくり~

2025年07月26日
季節の症状

梅雨が明けると一気に気温と湿度が上がり、「なんとなくだるい」「食欲がない」「寝苦しくて疲れがとれない」などの不調を感じる方が増えてきます。
そんな時は、“夏バテ”のサインかもしれません。

今回は、東洋医学の視点も取り入れながら、夏を元気に乗り切るためのセルフケアをご紹介します。

 

夏バテとは?

夏バテとは、高温多湿や冷房、冷たい飲食物のとりすぎなどによって、自律神経や胃腸の働きが乱れ、体のバランスが崩れる状態のことです。

夏バテの主な症状には、食欲不振・胃もたれ、倦怠感、無気力、睡眠の質の低下、下痢・便秘などの胃腸の不調、めまい、立ちくらみ、動悸などがあげられます。

東洋医学では、夏は「心(しん)」と「脾(ひ)」の働きが弱まりやすい季節とされており、これが夏バテの原因と考えられています。

 

なぜ「心」と「脾」が弱るのか?

東洋医学では、一年を「春・夏・長夏・秋・冬」という5つの季節に分け、それぞれに対応する臓腑や感情、気候があります。
中でも「夏」は五臓の中の『心(しん)』と深い関わりがあり、次に続く「長夏(ちょうか)」という時期には『脾(ひ)』が影響を受けやすくなると考えられています。

 

「心」は夏に最も影響を受ける臓腑

「心」は血液を全身に巡らせると同時に、精神活動(=神)を司る大切な臓です。
暑さで体力が消耗し、汗をかきすぎることで「心血」が不足しやすくなるため、

  • 動悸

  • 不眠

  • 焦りや不安感

  • 集中力の低下・疲れやすさ

といった症状が出やすくなります。

 

「脾」は“消化吸収”を司る土台の臓

「脾」は、食べたものから、気(エネルギー)や血を作り出す消化器系の中心的な働きを担います。

湿気や冷えに弱く、冷たい飲食物や冷房の影響を受けると、

  • 食欲不振

  • 胃もたれ

  • 下痢やむくみ

  • 全身のだるさ

といった不調が現れやすくなります。

夏バテを防ぐ5つのポイント

① 胃腸をいたわる食事

  • 冷たい飲み物や生ものを控え、温かくて消化に優しいものを。

  • 薬味(しそ・生姜・ねぎ)や加熱した夏野菜(ゴーヤ・トマト・なす)を取り入れましょう。

  • はとむぎや小豆は体の「湿」を取り除き、むくみや重だるさに効果的です。

 

② 睡眠で心を休める

  • 「心」は夜の休息によって養われます。

  • スマホは就寝1時間前にはオフ。ぬるめのお風呂に入ることで副交感神経が働き、深い眠りに導かれます。

 

③ 冷房との上手な付き合い方

  • 夏の室温は25~28℃がおすすめ。屋内外を頻繁に行き来する場合、温度差は5℃以内(最大でも10℃以内)に保つと自律神経への負担が軽減されます。
  • 直接風が当たらないようにし、腹巻きやレッグウォーマーで下半身の冷え対策を。

 

④ 軽い運動で気血を巡らせる

  • 暑すぎない場所でのウォーキングやヨガ、ストレッチなどを日課に。

  • 運動は脾を活性化し、湿の滞りを改善してくれます。

 

 ツボ押しで整えるセルフケア

鍼灸では、体調を整えるために「経絡」と呼ばれるエネルギーの通り道を整えます。以下のツボを毎日のセルフケアに取り入れると、心や脾のバランスが整いやすくなります。

中脘(ちゅうかん)

  • 位置:おへそから指4本分上、みぞおちとおへその中間

  • 効果:食欲不振・胃もたれ・膨満感などに

  • 押し方:指の腹で3~5秒じんわり押して離す。数回繰り返します。

 

足三里(あしさんり)

  • 位置:膝のお皿の外側下にあるくぼみから、指4本分下のスネの骨のすぐ外側

  • 効果:胃腸機能アップ・疲労回復・免疫機能アップ

  • 押し方:骨の内側に沿って親指で軽く押し込むように刺激(少し痛気持ちいいくらい)

 

内関(ないかん)

  • 位置:手首のしわから指3本分ひじ側、腕の内側中央

  • 効果:自律神経の安定、不眠・吐き気・胸のつかえに

  • 押し方:軽く円を描くように押す。深呼吸しながら行うと◎

 

まとめ

夏は、身体だけでなく「心」も疲れやすい季節。
「食事・睡眠・運動・ツボ刺激」といったシンプルな養生法を日々の暮らしに取り入れることで、「心」と「脾」が整い、夏バテを防ぐことができます。

今年の夏は、東洋医学の知恵を味方にして、内側から元気を育てていきましょう。

私が書きました!

川﨑 真澄MASUMI KAWASAKI

鍼灸師

所属:グラン治療院東京
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