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美容鍼灸のこと BEAUTY ACUPUNCTURE

美容鍼灸のリスク

2019年06月19日
美容鍼灸のこと

■目次
1.内出血が起こるとどのようになるのか
2.時間差で現れる場合もある
3.治るまでの期間
4.内出血は決して悪いものではない
5.内出血のリスクを下げる刺鍼技法
6.内出血を早く治すには
7.内出血になりやすい方

 

美容鍼灸は薬剤を用いることがないため副作用のリスクが無く、また外科的な施術とは異なり腫れや痛みのダウンタイムがほとんどない、自然で身体に優しい美容施術です。
しかし、鍼を身体に刺すという施術であることから、避けることができないリスクがあります。
それは、出血や内出血を起こす可能性があるということです。
身体に鍼を刺すことによって、皮下組織には僅かな損傷が起こりますが、鍼で血管が損傷した際にその周辺に血液がにじみ出てきます。
にじみ出た血液が皮膚の外に出た場合は出血、そして皮膚の外に出ないで皮膚内に留まった場合には内出血となります。

健康な血管は弾力に富んでいますので、鍼がふれてもよけてくれます。
しかし、血流の滞りなどにより血管に充分な酸素が送り込まれていないなどの影響で血管の健康状態が損ねられ、弾力性を失っている場合には、鍼を避けきることができずに損傷をしてしまいます。
お顔には、身体の他の部分に比べて毛細血管が密集して存在しているため、身体よりも出血や内出血が起こる可能性が高くなります。
しかし、これら出血や内出血は身体の正常な生体反応(血液に含まれる酸素を用いて細胞の壊死を防ぎ、白血球を用いて細菌やウイルスなどの異物に対する免疫作用を促進、さらに血液に含まれる血小板によって血液を凝固させることで、多くの血液を失わないようにする)に起因するものですので、それが起こることを予測したり、起こることがないように(毛細血管を避けて)鍼を刺すということはできません。

 

内出血が起こるとどのようになるのか

内出血は、肘を何かにぶつけて打撲を起こした時などにできる青あざと同様で、これが起こると皮膚が青色や赤みがかった紫色に見えるようになります。
血液は赤い色なのですが、青みがかって見えるのは皮膚のメラニン色素の影響によるものと言われています。
なお、内出血は皮膚が薄い部分にできると目立ちやすくなります。

お顔では、特に目の周囲の皮膚が薄く、その部分で内出血が起きると、目立ちやすく、また広がりやすい傾向があります。
そのため内出血のリスクを低下させるためにはこの部分への施術を避けることとなります。
しかし、目の下のたるみやクマといったお悩みには、その部分への施術がとても有効であるため、グラン治療院では、施術の前にお客様のご希望を伺いご相談をさせていただき、施術内容を調整してご提供させて頂いております。
また、結婚式等のイベントや写真撮影の直前等には、どの程度のメイクが可能なのかお客様にお伺いし、内出血が起きても目立ちにくい部分(頭部等)のみへの施術を行うなど、施術内容を調整してご提供させて頂いております。

時間差で現れる場合もある

皮膚のごく表面に近い位置の血管が損傷した場合にはすぐに内出血が確認できるのですが、皮膚の比較的深い部分の血管が損傷した場合には、すぐには内出血となって現れず、数時間後、時には翌日以降に出てくることがあります。
また、施術直後には点のようなわずかな範囲だった内出血が、時間の経過とともにやや広がって来ることもあります。
またその場合、重力によって下側に広がることが多く見られます。
また、血管の損傷がごく僅かで、血液がにじみ出るほどの状態ではない場合には、内出血になることはありません。
しかしその後に、お顔をマッサージしたり、洗顔の際にゴシゴシと強く皮膚をごすったりなど強めの刺激を与えてしまうと、血管の損傷が大きくなって内出血が起きてしまうこともあります。
そのため、美容鍼灸の施術を受けた後には、お顔への強い刺激は避け、お肌を優しくいたわる様にしてあげることが、内出血の予防としては重要です。

治るまでの期間

早い場合は3日ほどで、通常は1週間~数週間程度で完全に吸収され、どんなに目立つ内出血となった場合でも必ず消えて、痕に残るということはありません。

内出血は決して悪いものではない

私たちの身体には傷などのダメージを修復し、再生する働きが備わっており、これを創傷治癒(そうしょうちゆ)といいます。
出血・内出血した場所においても、血中に含まれる成分などの働きにより修復し、再生を促していきます。

出血や内出血が発生した場合、まず血小板が集まり、止血が始まります。
次に生体防御の役割を担う白血球や免疫系の一端を担うマクロファージの働きにより細菌などの侵入を防ぎ、組織を綺麗な状態に片付けます。
その後、繊維芽細胞の増殖を促す細胞成長因子(グロースファクター)の分泌が始まり、コラーゲンなどを含んだ肉芽組織の修復により、肌を新しい状態へと再生していきます。
(繊維芽細胞は、結合組織を構成する細胞の1つであり、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸といった真皮の成分を作り出します)

東洋医学などでも身体の状態に応じて、古くから行われている手技・技法の中には出血や内出血を伴うもの(刺絡、吸角など)もいくつかあり、流れの悪くなった血流を改善させ、より良い状態へと改善させるのにも用いられてきました。
内出血が発生した場合、見た目としてあまりよくないですが、傷の修復・肌の再生にはいい影響を与えてくれます。

内出血のリスクを下げる刺鍼技法

東洋医学では、血脈から血が漏出しないようにする働きのことを統血(とうけつ)と呼んでいます。
グラン治療院ではこの統血作用を考慮に入れた身体へのアプローチを行っています。
さらに鍼灸の様々な施術技法を検証し、内出血の発生リスクを下げるための技法の開発を続けております。
これまでの検証結果から、施術する部位の順序を調整、また鍼を刺す・抜く際のスピードや角度などを調整した施術を行っています。

 

内出血を早く治すには

(1)早めに冷やす

内出血が起きた部分では炎症が起きています。
炎症が起きるとその部分は熱を持ちますので、その熱を取ってあげることにより炎症を抑えることができます。
内出血が出ましたらできるだけ早く冷やすと、内出血の治りが早くなります。
アイスノンや氷を入れたビニール袋を、薄手のタオルやハンカチで軽く覆い、優しく添えるようにして冷やしてあげてください。

(2)熱が引いたら温める

1~2日ほどで炎症が治まります。
次に内出血が出た部分を温めてあげます。
血行が良くなりその部分に酸素や栄養がたくさん運ばれてくるようになりますので、治りが早くなります。
水やお湯で濡らしたタオルを軽く絞って電子レンジで1分ほど加熱し、その温めたタオルをそっと添えるようにして温めてあげてください。
(やけどに注意して行ってください)

(3)食事で治りを早くする

身体の血流を促進することで治りが早くなりますので、活発な血液を作るために必要な栄養成分を食事から積極的に摂ることが有効です。

それは、酸素を運搬をする役割を担うヘモグロビンを作りだすための鉄分と良質のたんぱく質、そして赤血球の形成のためのビタミンB12と葉酸です。
また、鉄分を効率よく吸収するためのビタミンCを一緒に摂ることが重要です。

 

鉄分を多く含む食べ物

豚レバー、とりレバー、マグロ、カツオ、ひじき、生揚げ、小松菜など

良質のたんぱく質を多く含む食べもの

魚介類、肉類、卵、大豆製品、乳製品

ビタミンB12を多く含む食べ物

牛レバー、豚レバー、魚介類、貝類、卵黄、チーズなど

葉酸を多く含む食べ物

牛レバー、豚レバー、卵黄、大豆、納豆、ほうれん草、ブロッコリーなど

ビタミンCを多く含む食べ物

ピーマン、アセロラジュース、パセリ、芽キャベツ、レモン

 

(4)漢方薬で治りを早くする

グラン治療院では、併設の漢方薬専門店『くすり屋さん』にて漢方薬をご提供しています。
ご希望の方には、医薬品登録販売者が、お客様の体質や状態に合った漢方薬をご提供いたします。
東洋医学では、内出血を瘀血(おけつ)(血液が滞っている状態)ととらえてその改善のための治療を行いますが、その際に用いられる漢方薬があります。
これらの漢方薬は、血液の循環を促進する成分と止血成分の両方を含むのが特徴です。

治打僕一方(ちだぼくいっぽう)

内出血が起きている打撲の症状の治療に用いられる漢方薬です。
血液の滞りを解消し、腫れと痛みを軽減する効能があります。
生薬として鎮静作用のある桂皮(けいひ)や樸ソク(ぼくそく)の他、甘草(かんぞう)、大黄(だいおう)などが含まれていて、様々な体質の人が服用することができます。
胃弱、消火器にトラブルがあるときは服用を控える必要があります。
血圧上昇、むくみ、手足のしびれなど副作用が生じたら服用を中止します。

 

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

月経不順などの女性の月経トラブルの改善に用いられることも多い漢方薬です。
体力があり、体格が良く、体温が高めの人に向いています。
生薬として血行をよくする作用がある桃仁(とうにん)の他、大黄(だいおう)、芒硝(ぼうしょう)、桂皮(けいひ)、甘草(かんぞう)の5種類が含まれています。
大黄と芒硝は下剤の効能もありますので、便秘傾向の人に適していますが、胃弱や消化不良をおこしている人にはお勧めできません。
血行を良くして肩こりや打ち身、腰痛、高血圧の改善を助ける効能があります。
子宮収縮作用や骨盤内の血流に作用する成分が含まれているので、妊娠中の女性は服用前に医師への相談が必要です。

 

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

血の滞りを改善し、炎症を鎮める効果がある漢方薬です。
女性の生理不順の治療にもよく用いられます。
鎮静作用のある桂皮(けいひ)、痛みを和らげる芍薬(しゃくやく)、血液循環を促す桃仁(とうにん)や牡丹皮(ぼたんぴ)、そして茯苓(ぶくりょう)の5種の配合成分が内出血の回復を助けます。
虚弱体質の人、妊娠中の人は避ける必要があります。
皮膚に発疹や発赤が起こったら服用を中止する必要があります。
まれに肝機能の低下が現れることがあるため、肝臓に持病がある人は服用を控える必要があります。
皮膚や白目が黄色い、尿が褐色を呈する、全身の倦怠感や食欲不振も肝機能の低下が原因ですので、このような症状が現れた場合には、服用を中止する必要があります。

 

内出血になりやすい方

次のような方が、美容鍼灸の施術を受けた際に内出血になりやすい傾向があります。

(1)身体を何かにぶつけた時に青あざができやすい方

ぶつけた記憶がないのに、ふと見ると青あざができている、という方は、内出血が起きやすく、
またそれが頻繁に起こる場合は後述のような他の病気の可能性もありますので注意が必要です。

 

(2)貧血気味の方

貧血気味の方は鉄分不足になっています。鉄分は血管を健康に保つために必要な栄養素でもありますので、貧血気味な人は血管が損傷しやすい状態になっているといえます。

(3)冷え症の方

冷え症の方は血液の循環が悪いために内出血が起きた際の回復に時間がかかる様になることから、他の人よりも目立ちやすくなる傾向があります。

(4)むくみやすい方

むくみやすい人も、冷え症の方と同様に血液循環が悪くなっているため、内出血の回復に時間がかかることがあります。
また女性はホルモンバランスを変調しやすく、その影響で血管の状態が悪くなり内出血が起こりやすくなることもあります。
そのため、前回は内出血にはならなかったけど、今回は内出血になった、ということもあります。

(5)病気をお持ちの方

・紫斑病(しはんびょう)
毛細血管や血小板、血液の凝固因子に問題が生じる病気です。
細菌やアレルギーなどが要因となって免疫に異常が起こって現れる病気です。
毛細血管が損傷しやすくなり、さらに止血しにくいため、内出血の青あざが起こりやすくなります。
また歯茎からの出家るや鼻血がよく出る、切り傷などによる出血が止まりにくい、女性では月経量が増えるというような症状の方もいます。

その他にも、重大な血液の病気や血管の病気が隠れている場合もありますので、日常から内出血が頻繁に起きている方、あざが全身に見られるという方は、できるだけ早く医療機関での受診をお勧めいたします。

私が書きました!

川﨑 真澄MASUMI KAWASAKI

鍼灸師

所属:グラン治療院横浜スパイアス院
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