ストレスと「ココロ」のケアVOL.1
- 2022年09月30日
- ストレスのこと
何をしても楽しくなく、気持ちが落ち込んでいる、不安や焦り・イライラ感などの精神的な症状や食欲がない、寝れない、ダルイ、疲れやすいといった症状が体に現れている方もいるのではないでしょうか。
しかし、仕事が忙しく気づかないふりをして無理していませんか?
そのまま放置せず、早めにココロと体のサインに耳を傾けていきましょう。
うつ病と自律神経失調症
何かしらの要因によって精神的・身体的なストレスが重なり、強い倦怠感や意欲・やる気の低下、注意力や集中力の低下など、さまざまな身体症状などが生じて、生活に支障が現れていれば「うつ病」が考えられます。
2021年に経済協力開発機構(OECD)が発表したメンタルヘルスに関する調査によると、日本国内のうつ病・うつ状態の割合は17.3%(2020年)となっており、年々増加する傾向にあり、現代日本において、うつ病などの精神疾患は重要なテーマになっていると言えます。
うつ病のメカニズム
うつ病は情緒行動を制御する「神経伝達物質」のセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンの機能低下の影響が関わると考えられていますが、明確なメカニズムは現時点では解明されていません。
また、記憶をつかさどる海馬、そして思考や判断力に関係し、行動する機能をつかさどる前頭葉などの領域で学習機能に重要な「神経栄養因子」が減少することも関与していると言われています。
自律神経失調症とうつ病の違い
ストレスなどの影響で自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが乱れることでダルさやめまい、動機、頭痛などの様々な症状が現れるものを「自律神経失調症」と言います。*自律神経についてはこちら
そして、自律神経失調症は正式な疾患名ではなく、診断するための明確な診断基準が無いため、さまざまな不定愁訴があるにも関わらず、病名がはっきりしないような場合に便宜的に自律神経失調症と呼ばれます。
これに対し、うつ病の場合は精神疾患として明確な判断基準があり、診断には国際的な診断基準が用いられるケースが多くなっています。
自律神経失調症には見られない「うつ病」の特徴は、一定のレベルを超えた精神症状があげられます。イライラや焦り、不安、抑うつ感の背景に深い絶望感を感じていたり、死を意識する程に追い詰められていたりすることがうつ病の場合にはあります。
また、自律神経失調症とうつ病にはどちらも精神的なストレスによって引き起こされるという共通点はありますが、原因となるメカニズムが異なっています。
自律神経失調症では、自律神経のバランスが乱れることで発生しますが、うつ病は神経伝達物質(セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリン)の機能低下が考えられ、他にもストレスや過労なども原因としてあげられます。
うつ病と向精神薬
うつ病の治療ではこれまで、症状に合わせた薬が用いられてきました。使用される薬は向精神薬と呼ばれ、中枢神経系に作用し、精神活動に何らかの影響を与える薬物の総称です。
向精神薬には、抗うつ薬、抗不安薬(精神安定剤)、抗精神病薬、抗てんかん薬、睡眠薬などがあります。
例えば、ある種の抗うつ薬では、その使用によりセロトニンやドーパミンの作用を強めることで神経栄養因子の機能を強め、うつ病が回復すると考えられています。
ほかにも、抗不安薬ではうつ症状の緊張や不安を軽減させる目的で、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系に大別される薬が用いられます。感情の動きと関係する脳の海馬や扁桃核といった大脳辺縁系と視床下部に作用し、神経細胞の興奮を抑制(催眠・鎮静作用)します。
このような、薬物を用いた治療法は脳科学的な原因に対処したり、カウンセリングや社会復帰プログラムへのスムーズな導入に大変重要な位置をしめています。そして、まだはっきりとメカニズムが分っていない病でもあるため、社会的、心理的な様々な治療法や対処法が模索されています。
ココロのケアのために必要なことは何か。次回、他の対処法についてもご紹介していきます。
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私が書きました!
川﨑 真澄MASUMI KAWASAKI
鍼灸師
所属:グラン治療院横浜スパイアス院
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